年俸制と月給制の違い

【ご相談内容】
年俸制と月給制はどう違うのでしょうか?年俸制で運用するメリット、例えば残業代を別途支払わなくてよい等はあるのでしょうか?

【私からの回答】
 ときどきご相談を受けることがあるのですが、年俸制だから残業代は支払わなくてよいとか、諸手当は無くてよいとか、そのようなことはありません。
 年俸制とは、給与が年でいくらと決められていることを意味します。ただ、給与は毎月支払わなければならないと法律で決められておりますので、この年俸額を12や14で割って、毎月と賞与月(賞与月の加算はあってもなくてもよい)に支払うことになります。
一方、月給制は、月でいくらと決められている制度で、月々の給与以外に賞与が別に有る場合は、給与と賞与で最終的な年収が決まります。

 正社員の場合、つまり雇用契約に期間の定めがない場合、年俸制と月給制との違いは、給与が月で決まっているか、年で決まっているかだけの差でしかないわけですが、年俸制の場合は、雇用契約自体も1年契約で締結される場合があります。すなわち、雇用契約は無期であるが給与は毎年更改されるというタイプと、雇用契約と給与が一体となって1年ごとに更改されるタイプの2パターンが考えられます。

 雇用契約が無期の場合、雇用関係自体は定年まで存続することが前提ですから、契約更新の都度、更新して引き続き働いていただくか、契約を更新せず退職いただくかを決める余地はありません。給与の金額のみを改定するわけです。このとき、給与の金額をいくらにでもできるかというと、そうではありません。
 労働契約法8条では、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定されています。
 つまり、労働条件の変更は、使用者による一方的な意思だけではできないということです。
 したがって、いかに年俸制といえども、労働者の同意なしに、使用者が賃金等の労働条件を一方的に切り下げることはできない以上、もし同意が得られなければ、直近の年俸のままで、雇用契約は継続していくことになります。
 そうなると、このタイプの年俸制は、使用者にとっては、1年間の給与を約束する制度と考えられ、従業員にとっては少なくとも1年間の給与額の保証がある制度と言えます。

 他方、雇用契約と給与が1年で契約されているタイプの場合は、雇用契約を更新しないという選択ができます。
 従って、更新しない=年俸0円という下限も認められるわけですから、使用者側からすると、次年度の年俸額を自由に提示することが可能です。一方、労働者からすると、雇用契約は1年ごとに更新していく不安定な雇用形態であると言えます。


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フロネーシス社会保険労務士法人
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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