定年退職により退職する日が60歳到達日より前の場合

【相談内容】
A社では就業規則で定年は60歳と定められています。
また、退職する日は「60歳に到達する日が属する月の給与締日」と定められています。
A社の給与締日は毎月20日です。
この場合、1月27日が誕生日のBさんは、1月20日で退職することになりますが、定年退職として取り扱って問題ないでしょうか?

【私の回答】
まず前提知識を整理しておきます。
定年制とは、60歳など一定年齢に達したことを理由に退職する制度です。
定年制を会社で設けるか設けないかは会社の自由です。
定年制を設けない場合は、ある一定の年齢に到達したという事由だけで退職してもらうことができないというだけです。

さて、本件では、定年制の定めが就業規則でなされています。
定年は高年齢者等の雇用の安定等に関する法律という法律によって、60歳以上としなければならないと定められています。
そして、60歳に到達する日とは、法律上は60歳になる誕生日の前日となります(年齢計算に関する法律)。

Bさんの場合は、1月27日が60歳の誕生日ですから、1月26日が法律上の60歳到達日となります。

この会社の就業規則では、60差に到達する日が属する月の給与締日で定年退職することとされています。
そうなるとBさんは、1月20日で退職することになりますが、1月20日の時点ではBさんは60歳に到達していないため、このような定年制の定めは違法であり、無効となります。
定年制の定めが無効となれば、定年制の定めがない会社ということになりますので、1月20日に会社がBさんを退職をさせる場合は、解雇になってしまいます。

従って、早急に就業規則を改定し、少なくとも定年退職する日を「60歳に到達する日」「60歳に到達した日以降で最初の給与締日」という具合に制度に改める必要があります。

このとき、この改定が就業規則の不利益変更に該当するかどうかは難しい問題です。
違法な制度を適法な制度に変更することは従業員にとって有益であると考えられます。
しかし、他方で従前の定年制の定めは無効であって定年制の定めはなかったものとされる以上、新たに定年制の定めを設けるということは60歳という年齢で自動的に退職する制度を創ることを意味し、不利益変更とも考えられます。
もっとも、本件では、不利益変更であるとしても、その不利益の程度や必要性、合理性といった不利益変更が許されるための要件は充足すると考えられますので、従業員様に対して丁寧に説明し誠実に対応されれば問題はないかと思います。

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SR人事労務総合研究所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-7652-9289
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