会社が倒産した場合の退職金

【相談内容】
会社が倒産し、従業員の退職金が未払いのままです。退職金の支払いをしないといけないでしょうか?会社には、従業員の退職金のほかにも多くの債務があり、これまで懇意にしてくれた取引先には迷惑をかけたくないので、そちらを優先して支払うようにできるのでしょうか。

【私の回答】

民法第308条では、次のように定められています。
雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。

先取特権とは、
法定担保物権の一種であって、一定の類型に属する債権を有する者に付与される、債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利をいいます。
簡単に言うと、先取特権がある債権は、ほかの債権者よりも優先して支払いが受けられるということです。

そこで、退職金が「使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権」に該当するとすれば、退職金は、他の債権者より優先して支払われることになります。

この点、最高裁の昭和44年9月2日判決が次のように述べています。
 
「民法306条、308条が雇人の給料について一般の先取特権を認めたのは、賃金保護という社会政策的考慮に出たものであり、右308条がその範囲を最後の六ケ月間の給料に限つたのは他の債権との均衡を考慮したものであるから、賃金の性格をもつ退職金については、これに一般の先取特権を認めることが右立法の趣旨にも合致するものというべく、他方、他の債権との均衡上、その先取特権の認められる退職金の範囲も右民法の規定の定めている賃金の額に達するまでのものに限ると解するのが相当だからである。」

つまり、最高裁は、退職金や賞与といった賃金の性格を持つ債権については、先取特権が認められると判断しました。

この先取特権は、一般の先取特権であり、動産の先取特権の順位(第330条)、不動産の先取特権の順位(第331条)、同一順位の先取特権(第332条)よりも優先します。
したがって、取引先に対する仕入代金債権や事務所の家賃などより優先して支払われることになります。


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SR人事労務総合研究所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-7652-9289
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