新型コロナに感染した従業員は有給休暇を取得できるか

【ご相談内容】
当社の就業規則には、「従業員が感染症法により就業の禁止をしなければならないときは、就業を禁止することができる」と記載があります。
新型コロナに感染した従業員は、感染症法により就業が禁止されると思いますが、先般、陽性となった従業員から休む期間を有給休暇で対応してほしいと言われました。就業禁止となり勤務を要しない日に、有給休暇は取得できるのでしょうか?

【私からの回答】
新型コロナウイルス感染症は、ただの風邪ではありません。
ただの風邪なら、その日の就労義務は免除されませんので、発熱等により多少しんどくても働くことができます。
働ける日に取得するのが有給休暇です。
一方、新型コロナウイルス感染症は、令和2年1月28日に、厚生労働省より感染症法6条8号の「指定感染症」と定める政令が公布されていますので、感染症法に基づき就業が制限されます。
感染症法18条では、都道府県から通知を受けた場合は、「感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない」と定められており、この規定により就労が禁止され、労働者の就業義務は無くなります。
従って、新型コロナ陽性者は、有給休暇を取得することは認められず、会社としては傷病手当金で対応していくことになります。
この点、初診日から3日間の待機期間についても、有給休暇を消化することはできません。

ただ、会社として、従業員からの有給休暇の取得の要請に対して応じる義務はないものの、労働基準法は、労働者に対して法律より有利な取り扱いを就業規則あるいは個別の雇用契約書等で定めることを許容していますので、会社として有給休暇の取得を認めることは、労働者にとって有利な取り扱いであり、有給休暇の事後申請が使用者の裁量で認められるのと同様に、使用者の裁量によって認めて差し支えないものと考えられます。
この点につき、労働基準監督署の見解としても、
①就労義務がなくなる以上、労働日ではなく、有給取得はできない。したがって有給取得を拒めむことができる。
②但し労働者が有給取得を希望し、事業主がこれを認めるなら、その扱いで問題はない。
としています。

よって、本件ご相談については、
会社として有給休暇の取得を認める義務はない。
しかし、会社の裁量で、有給休暇の取得を認めることはできる。
というのが結論になります。


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フロネーシス社労士事務所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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