休業日における有給休暇の消化について

【ご相談内容】
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、遠方から電車で通勤してくる従業員に、休業を命じることにしました。
すると、当該従業員から、休業する期間中に有給休暇を消化したいと申し出がありました。
この場合、会社としては有給休暇の消化を認めなければならないでしょうか?

【私からの回答】
 有給休暇は、労働の義務がある日に使用することができます。
 本事案のように、会社が新型コロナウイルス感染予防のために労働者に休業を命じた場合、その日は労働義務がない日ということになりますので、この日に有給休暇を取得することは、認められません。
 ただ、会社が休業を命じるよりも前に、先に有給休暇を申請していた場合は、その日はその労働者にとっては年休消化による休業日と考えられるため、有給休暇の消化は認められます。
 この点、行政解釈では、労働者からの年休請求が、休業命令の前か後かで判断が変わってしまうことの均衡を考慮して、事後に有給申請された場合に、会社が認めることは差し支えないとされています。
 従って、ご質問のケースでは、休業命令後の請求では取得を認めなくても法律違反にはなりませんが、会社の裁量で認めてあげることは可能ということになります。

 尚、本件とは異なりますが、従業員から特に申し出がない場合に、会社が休業日を有給取得日として取り扱うことはできるかという別の問題もあります。
 この点、有給休暇の取得は労働者の権利であり、会社から取得を強制することはできませんが、昨年4月1日の労働基準法改正により、1年に10日以上与えられる有給休暇のうち5日間の消化が義務化がされたことに伴い、使用者には、労働者の有給休暇の取得時季を指定できる権利が与えられました。
 ただ、新しく設けられた改正労働基準法施行規則では、時季指定する場合は、当該有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならず、その意見を尊重するよう努めなければならないと規定しています(第24条の6)。
 したがって、使用者から一方的に休業日を有給消化日として取扱うことは法律違反となりますので、当該労働者から意見を聴いて、その意見を尊重して有給取得日として取扱うようにしなければいけません。
 また、使用者が時季指定する場合、時季指定の対象となる労働者の範囲や時季指定の方法などについて、就業規則に記載しておかないと時季指定ができませんので注意が必要です。
 尚、この時季指定は、年に10日以上有給休暇が与えられる労働者に対してしかできません。また、すでに年5日以上の有給休暇を取得している労働者も、この時季指定の対象外となります。

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フロネーシス社会保険労務士法人
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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