従業員が転籍した場合、有給休暇はどうなるか

【ご相談内容】
 先日、父親が経営するA株式会社から、事業を譲り受け、新たにB株式会社を設立しました。その際、A株式会社で勤務していた従業員も、B株式会社に転籍しました。
 昨日、従業員Cから、有給休暇を使用したいと言われましたが、B社は設立してまだ半年も経っておらず、有給休暇は法律上発生していないと思うのですが、A株式会社での勤続年数も通算しなければいけないのでしょうか?

【私からの回答】
 有給休暇は、次の2つの要件を充たした場合に発生します。
 ① 雇い入れの日から6ヵ月経過していること
 ② その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

 そしてこの有給休暇は、雇用されている会社との関係において、その二者間で発生するものであり、会社を退職すれば、その時点で消滅します。
 本件においてもA株式会社で勤続年数が何年あったとしても、A株式会社とB株式会社は別法人であり、B株式会社へ転籍するということは、A株式会社を一旦退職して、B株式会社に入社することを意味します。従って、A株式会社で発生していた有給休暇は、A株式会社を退社した時点で消滅しており、B株式会社は、従業員Cさんの有給休暇の取得を認める必要はありません。
 但し、転籍は、後述する出向とは異なり、転籍元の会社との労働契約を終了させて新たな条件の労働契約を締結するものですから、従業員にとっては不利益変更となるため、新たな勤務先と雇用条件を明示した上での個別の同意が必要と考えられます。
 従って、円満に転籍に同意してもらえるようにするためには、従前の雇用条件から不利益に変更されないように有給休暇等についても配慮する必要があるかと思います。
 この転籍と近い概念で、「出向」という概念があります。
 「出向」の場合は、元の雇用関係を維持したまま、他の企業においてその指揮命令に従い就業することを言います。一般的に「出向」には個別の同意までは必要なく、就業規則等において「出向を命じ得る」旨の配置転換規定があれば命令可能と考えられます。
 この出向の場合は、転籍と異なり、雇用関係が継続していますので、有給休暇についても、勤続年数についても、維持継続されることになります。


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フロネーシス社会保険労務士法人
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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