入社時に応募者の過去の病歴を確認することはできるか

【ご相談内容】
当社では、いま社員の採用面接を行っているのですが、その際に、応募者に対して、過去の病歴を確認することは問題ないでしょうか?

【私からの回答】
 過去の裁判例から、企業には広く採用の自由が認められています。
 具体的には、三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12)では、企業は「経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができる」とし、企業が「特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない」と述べています。
 また、企業が「採用の自由」を有する以上、企業が「労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為とすべき理由はない。」とまで述べられています。
 ただ判例も、採用の自由を無制限に認めているわけではなく、「法律その他による特別の制限」に対しては一定の制約を受けるものとしています。
 具体的には、雇用機会均等法による男女差別の禁止があります。そのほか、職業安定法5条の4では、「労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。」と定めており、同法に基づき策定された行政指針(平11.11.7労働省告示第141号)では、「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」、「思想及び信条」、「労働組合への加入状況」については、原則として収集してはならないとされています。
 しかしながら、健康情報については、収集してはならないとされていません。したがって、本人からの同意を得て、健康情報を申告してもらうこと自体には問題ありません。
 他方、本人の同意なく収集した場合は、プライバシー侵害に当たる可能性があり、過去の裁判例でも、HIV抗体検査(東京地判平15.5.28警視庁警察学校事件)やB型肝炎ウイルス検査(東京地判平15.6.20国民金融公庫事件)では検査の違法性が認められていますので、注意が必要です。


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フロネーシス社会保険労務士法人
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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