精勤手当や皆勤手当を含めて最低賃金の判定ができるか

【相談内容】
当社では、基本給が135,000円の社員Aがおります。Aには月額20,000円が皆勤手当として支給されています。そのほかに支給されている手当は通勤手当のみです。最低賃金は時給800円(大阪府)、1ヶ月の所定労働時間は172時間です。Aの賃金は最低賃金をクリアしているでしょうか?

【私の回答】
最低賃金法では使用者に最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払うことを求められています。
その計算をする上では、賞与や割増賃金など、いわゆる付加的な賃金は、最低賃金法第4条第3項において、最低賃金の対象となる賃金から除外することとされています。
これは、最低賃金の実効的な効果を確保するためには、最低賃金の対象となる賃金は基本的な賃金に限定する必要があるためです。

具体的に最低賃金から除外される賃金としては、以下の3類型があります。
①1ヶ月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
 (例)結婚手当、賞与など
②通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
 (例)残業手当、休日出勤手当など
③ 各地方最低賃金審議会で最低賃金を決定する際に、最低賃金の対象となる賃金からは除外することとされている賃金
 (例)精皆勤手当、通勤手当、家族手当など

さて、以上を前提とすると、皆勤手当や通勤手当は上記③に該当することからAさんの最低賃金を算定する際に対象となるのは基本給のみと考えられます。
よって、基本給135,000円<800円×172時間となりますので、Aさんの賃金は最低賃金違反となってしまいます。

しかしながら会社としては、基本給とは別に皆勤手当を20,000円も支給しているのだから、これも加算して155,000円で最低賃金をクリアさせたいと思われることでしょう。
そこで、この皆勤手当を最低賃金算定の基礎に含める方法はないか考えてみましょう。

そもそも皆勤手当が算定対象から除外されるのは、欠勤した月には皆勤手当が支給されないことが想定される以上、今月たまたま無遅刻無欠勤であって皆勤手当が支給されていたとしてもそれを含めて計算しては将来の欠勤した月に最低賃金割れが生じてしまうからです。

裏を返すと、欠勤してもカットされないなら、つまり必ず支給される金額はたとえそれが形式的には「皆勤手当」という名称であったとしても、算定基礎に含めても良いことになります。

とすると、例えば賃金規程で皆勤手当の項目に「最低賃金を下回る場合には、最低賃金額以上となるように支給する」と明記しておけば、一般的な意味での「皆勤手当」ではなくなり、最低賃金の基礎に含めることが可能になります。
場合によっては、このほかにも自社における皆勤手当の定義をより明確に定義するといった工夫も必要です。

Aさんの場合、800円×172時間-基本給135000=2600円となりますから、仮にAさんが欠勤して皆勤手当が減額されるとしても2600円は皆勤手当として支給されるということであれば、この手当は最低賃金の算定基礎に含めてよいことになるわけです。

最低賃金は毎年改定されますが、最低賃金ギリギリで基本給を設定されている企業様では、その都度賃金規程を改定されるのは大変だろうと思います。

経営環境が大変厳しい昨今、基本給以外に手当が支給されているのであれば、このような手当の定義や運用を改定することによって基本給を引き上げずに最低賃金をクリアすることも検討すべきではないでしょうか。


**********************
SR人事労務総合研究所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-7652-9289
**********************















ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック