有期雇用契約の落とし穴

【相談内容】
製造業を営むA会社は、4月から入社するBさんと3ヶ月だけ期間を定めて雇用契約を締結しました。まずは有期契約でBさんの資質と適性を判断しようと考えたからです。
1ヶ月後、Bさんには遅刻がしばしばあり、作業ミスも多かったことから、社長はBさんを解雇しようと考えています。この場合、3カ月後の契約満了を待たずに、解雇予告して退職してもらうことができるのでしょうか。

【私の回答】
民法では、628条で「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、当事者は直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」と定められています。

そして、労働契約法17条1項では、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と定められています。

つまり、当事者間で期間を定めて契約した場合は、その期間はしっかり守りましょうというのが法の趣旨です。
そして、どうしても守れないやむを得ない事由がある場合に限って途中で解約することを認めるとしているのです。

では、どのような場合に、やむを得ない事由があったと認められるのか。

この点、期間途中の解雇が問題になった高等裁判所の決定(安川電機八幡工場事件 福岡高決平成14・9・18労判840号52頁)では、「期間満了まで待てないほどのやむを得ない事情」が会社にあったか否かを重要な判断基準としています。
とすると、少なくとも、1年の有期契約に比べて3年や5年の期間を定めた場合は、期間満了まで待てないという主張が通りやすくなる一方、3カ月とか6カ月といった短期の有期雇用契約であれば、たいていの事由が期間満了まで待てるだろうという判断に傾くことになると思われます。

今回のBさんの雇用契約は3カ月であり、途中解約しようとする理由は、遅刻と作業ミスが目立つといった程度の理由であることから、今回は、中途解約(解雇)することは困難です。
この場合、無理に解雇を強行すると、無効となる可能性が高いと考えられます。

このように、有期雇用契約は、使用者側にとっては柔軟に人員の増減ができるというメリットがある一方、一度定めた期間は最後まで遵守しなければならないという拘束を伴うことに十分に注意すべきです。

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SR人事労務総合研究所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-7652-9289
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