保育園での出来事

私事ではありますが、うちの息子たちは保育園に通っております。
その保育園でつい先日、ある男性の先生が退職されました。
卒園式まであと1か月程度というところで、事後報告という形での突然の退職でした。
子供たちだけでなく保護者からも大変人気のあった先生だけにとても残念です。
このようなお話を聞くと、職業柄、その先生と保育園との間で、何か労使間のトラブルがあったのではないか、それによって退職されたのではないかと心配になってしまいます。

以下は仮定のお話です。通常、社員が退職する場合に会社が採るべき手順をご説明します。

1つめのケースは、その先生が個人的なご事情、例えば家業を継ぐ、他の保育園への転職等で退職される場合です。
この場合は、補充する人材が決まり、引継ぎが完了するまでは退職しないで欲しいと保育園がお願いするケースが一般的です。
ですから、保育園としては、
①本人から退職届を提出してもらう。
②その退職届に記載のある退職希望日で退職してもらって問題がないか確認する
③内容に問題なければ退職届を受理する、問題があればその点を指摘して内容の修正を促す。
という流れで対応することになります。
なお、一度受理された退職届は、のちに撤回することは原則としてできません(騙された場合などは除く)。
この受理という行為は、会社による退職の「承諾」を意味します。
承諾により、雇用契約は解除されることになったわけですから、撤回や変更には、労働者と会社の新たな合意が必要となります。同意できれば変更も撤回も可能です。
ですが、合意ができない場合は、退職届に記載のある日に社員は退職してしまいます。
退職届は提出する側も受け取る側も、慎重に取り扱うことが肝要です。

この点、引継ぎもしないで辞めることで会社が損害を被ったらどうするんだ、損害賠償してもらうべきだと言われる社長さんもいらっしゃいます。
このご意見は、たしかに一理あります。その主張の可否については、長くなりますのでまた後日に回します。

2つめのケースは、その先生と保育園との間で意見の対立や方針の相違があり、勤務を継続することが困難と判断された場合です。
保育園としては、
①まずはその先生と「何が問題か」「今後どうすればよいか」等につきしっかり話し合う。
②その場で、両者の溝が埋まらなかった場合は、お互い合意の上で雇用契約を解除することを提案してみる
③いつで解除するか、残っている有給休暇はどうするかなど諸条件につき書面を取り交わす。
という流れで対応するのがよいでしょう。
このように対処することで、法的には「解雇」とはならず、保育園のリスクは最小限に抑えられます。
もちろん、保育園としては勤務を継続してもらう方向で話し合いに臨むことが前提です。

3つめの考えられるケースは、保育園がその先生を一方的に退職させる場合です。
この場合、法的には「解雇」になります。
そもそも解雇するには解雇するに値するだけの相当な理由が必要となります。
何の理由もなしに社員を解雇することはできません。

解雇する理由としては大きく3つ考えられます。
①労働者の労働能力の不適格
②労働者の規律違反
③経営上の必要性

①は、病気やその後遺症による労働能力の喪失、勤務成績の著しい不良、職場における協調性に欠け職場の人間関係に問題が生じている場合などです。
②は、就業規則や業務命令に違反する行為があった場合です。
③は、いわゆる「リストラ」と呼ばれるようなケースです。

仮にこのような解雇の正当な理由があった場合であっても、「もう明日から来なくていい」と命じるのであれば1ヶ月分の賃金(30日分の平均賃金)の支払いが必要となります。これを解雇予告手当といいます。

以上から、保育園として、先生を解雇する場合になすべきこととしては、
①まずどのような理由で解雇するのか、その解雇理由に合理性はあるかを確認する(弁護士や社会保険労務士等の労働法務の専門家への確認をお勧めします)。
②その理由を解雇する先生に伝え、説明する(このとき、できる限り納得してもらえるまで説明することが重要!)。
③30日前には解雇を予告する。
となります。
③の予告は、のちに紛争となることも想定して書面で通知するのが望ましいといえます。そして、この30日前の予告をすることで、先に述べた解雇予告手当を支払わなくてもよくなります。勿論、30日前の予告をするということは、解雇を告げたのち30日間その社員は勤務を継続することになりますが、それは社内的に問題があるということであれば、解雇予告手当を支払うことで③の手続きは省略できます。

上記で述べた以外にも事案によっては揃えるべき書類や踏むべき手順があります。
あくまでも上記は一般論とお考えください。

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SR人事労務総合研究所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-7652-9289
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