社労士池原の労務管理日誌

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zoom RSS 賞与を特別手当として支給することで社会保険料を削減できるか?

<<   作成日時 : 2018/03/11 21:17   >>

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【ご相談内容】
当社では夏と冬に毎年賞与を支給しています(夏冬ともに基本給の1か月分)。今回、会社の業績が良かったので、3月末に、1年以上在籍している正社員に対して5万円〜10万円程度の臨時手当を支給したいと考えています。
これを賞与として支給する場合、賞与には社会保険料がかかってくると思うのですが、毎月の給与に、例えば特別手当として加算して支給すれば社会保険料はかからないのでしょうか?

【私からの回答】
社会保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

具体的には、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額に保険料率をかけて決定します。
そしてこの標準報酬月額は、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。
なお、定時決定の算定月以後に毎月決まって支払われる賃金に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。

賞与については、実際の税引き前の賞与の額から1000円未満の端数を切り捨てたものを標準賞与額として、保険料率をかけて決定されます。

仮に今回の特別手当が毎月の給与と考えた場合、3月末の給与に加算して支給しても、それは臨時の手当であって、毎月決まって支払われる賃金が変動したものとは考えられないため、社会保険料の随時改定の対象とはならず、社会保険料は従前の給与額に対して決定された保険料のままで変更はされませんので、今回の臨時手当には社会保険料はかからないことになります。
一方で、今回の特別手当を賞与として考えた場合、今回の支給額から1,000円未満を切り捨て金額に対して保険料率をかけた賞与保険料を労使が折半で負担することになります。

そこで、給与か賞与か、どちらで処理すべきかを考えるにあたり、それぞれの定義を確認してみましょう。
社会保険上では、毎月の給与と賞与の定義は下記のように定められています(日本年金機構ホームページより)。

毎月の給与(標準報酬月額)の対象となる報酬は、次のいずれかを満たすものです。
(ア)被保険者が自己の労働の対償として受けるものであること。
(イ)事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの。

(例)基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるもの
上記の「経常的」とは、その意味を辞書で調べると、「定期的なさま、一定の間隔や頻度で発生するさま、などの意味の表現。「臨時的」などの対義語として用いられる」とあります。また年4回以上支給される賞与についても給与(標準報酬月額の対象となる報酬)に含まれるとされていることから、社会保険では年3回までが臨時的と考えられているものと解されます。
  
一方、賞与(標準賞与額)の対象となるのは、賃金、給料、俸給、賞与等の名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち年3回以下の回数で支給されるものと定義されています。
(例)賞与(役員賞与を含む)、ボーナス、期末手当、年末手当、夏(冬)季手当、越年手当、勤勉手当、繁忙手当、もち代、年末一時金等、年3回以下の回数で支給されるもの、及びその他定期的でなくても一時的に支給されるものは賞与に含まれます。
なお、年4回以上支給される賞与については、標準報酬月額の対象となる報酬とされ、標準賞与額の対象となる賞与とはされません。

この定義から分かることは、給与・賞与いずれも、「労働の対償」であるものが保険料の算定対象となっています。
「労働の対償」とは、被保険者が会社で労働した対価として使用者から受ける報酬や利益のことを意味し、過去の労働に限らず、将来の労働も含めた労働と考えられています。事業主が恩恵的に支給する慶弔見舞金、健康保険の傷病手当金、出張旅費などは労働の対価とは言えないため社会保険上は給与・賞与には含まれません。
そのほか「大入袋」は、支給があらかじめ決められているものではなく臨時的で、中身が比較的高額ではない、社員に一律に支給される、いわゆる「ご祝儀」といえる恩恵的要素が強いものであるため、実質的収入とは言い難く、給与や賞与に含めなくてよいものとされています。

そこで、今回の手当が「労働の対償」であるかどうかを検討します。
今回の手当は、会社の業績が良かったため支払われるもので、その金額は通常の定期賞与より少なく、通常の賞与月ではない時期に支払われるものです。
これを上記「労働の対償」の定義に照らし合わせてみると、今回の手当は、過去1年間在籍している正社員に対して支給されるものであるため、過去1年間の労働の成果が良かったことを理由として支給されると考えられます。
またこのような手当を大入袋として考える余地も無いわけではありませんが、金額も大きく、全社員に一律支給されるご祝儀的なものとは考えにくいため、今回のケースでは「大入り袋」と考えるのは難しいでしょう。

そうしますと、今回の特別手当については、「労働の対償」であり、給与または賞与のいずれかには該当することになります。

給与と賞与の分水嶺は、先に検討した「経常的」の考え方で判断できます。
今回の手当は、通常の賞与月ではない時期に臨時的に支払われるものですから、毎月あるいは毎年決まって支給される経常的な手当ではありません。
よって、賞与として考えるべきと思います。

以上から、今回の特別手当は、賞与として取り扱い、賞与保険料を控除して、後日、年金事務所に賞与支払届を提出する必要があると思います。

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フロネーシス社労士事務所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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