社労士池原の労務管理日誌

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zoom RSS 残業に応じない社員に残業を強制してよいか

<<   作成日時 : 2016/08/14 18:40   >>

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【相談内容】
弊社では午前9時から午後6時まで(休憩60分)が所定労働時間となっていますが、社員の中で1名、残業することに非協力的な社員がおり、私用のため等と言っていつも残業を拒否する者がいます。
この者に対して、会社として残業を命じて残業を強制することは問題があるのでしょうか?

【私からの回答】
労働基準法では、労働者に休憩時間を除き一週間について40時間、1日については8時間を超えて労働させてはならないと定められており、この時間を超えて労働させることは労働基準法違反となり、事業主には罰則規定が適用されます。(労働基準法32条、労働基準法施行規則16条)。
しかし、世の中のほとんどの会社で残業があるのは当たり前であって、残業のない会社は極めて稀と言えるでしょう。
とすれば、世の中のほとんどの会社が罰則対象となることをしているのかというと勿論そうではなく、労働基準法32条違反の罰則適用が免除されるための協定が労使間で締結されています。
すなわち残業をする業務の種類、労働者の数、延長できる時間数及び労働させる休日数の上限を定める「36協定」を締結することで、労働基準法32条違反の罰則を免れることができるわけです(労働基準法36条)。

しかしながら、36協定を締結することで罰則免除の効果は得られるとしても、会社が従業員に残業を命じるためには、36協定とは別にその法的根拠が必要となります。
通常、この時間外労働を命じる根拠は、就業規則または雇用契約書に記載されています。
一般的な就業規則であれば、「会社は、業務上必要があれば時間外・休日労働を命じることがある」といった旨の規定があるはずです。
また、就業規則をまだ策定していない会社であっても、雇用契約書あるいは労働条件通知書に「時間外労働有り」と明記されていれば問題ありません。
逆に、就業規則があっても時間外労働を命じる規定が無い場合で、求人票や雇用契約書においても、「時間外・休日労働無し」と記載されていれば、会社としては時間外・休日労働をさせないことを1つの労働条件として契約していることになりますので、後から忙しくなったからといって残業を命じる事はできないことになります。

本件の場合、労働者との間で交わされた雇用契約書やその内容となる就業規則に時間外労働を命じる根拠規定が有るかどうかが重要となります。
仮にそのような規定があり、36協定も適切に締結されていた場合には、会社が原則として時間外労働を命じることができます。
この点、原則としてと表現したのは、残業命令の有効性が問題となった最高裁判例(日立製作所武蔵工場事件 最判平3.11.28)で最高裁は、 
「企業が需給関係に即応した生産計画を適正かつ円滑に実施する必要性は労働基準法36条の予定するところと解される上、本件における会社の事業の内容、労働者の担当する業務、具体的な作業の手順ないし経過等に鑑みると、これらの記載事項が相当性を欠くとはいえない」と判断しており、いかなる残業命令も有効とされるわけではなく、残業命令を命じる必要性と、命じる内容に社会的相当性が認められる限り有効であるとしているからです。
したがって、今回ご相談の事案では、担当職務に対して残業を命じる必要性があり、その職務を担当している者全員が一定割合で残業に応じている中、1人だけ命じても応じないというような場合には、改めて就業規則に基づき業務命令を発することが可能であり、この業務命令に対して、特別の事情なく応じない場合には、懲戒処分も可能と考えられます。

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フロネーシス社労士事務所
社会保険労務士 池原伸
電話 06-6777-8610
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